2025年、人は「買い物」をしなくなるを読んだ感想

『2025年、人は「買い物」をしなくなる』が気になる人「本の内容が知りたいです。買い物をしなくなるってどういうことですか?詳しく聞きしたです。」
こういった疑問に応えていきます。
本記事の内容
- ショッピング体験の進化で、人々は「買い物」をしなくなる
- さらなる進化、「デジタルシェルフ」へ
- 「人々が「買い物」をしなくなる未来」の先にあるもの
この記事を書いているぼくは、実際に読んで記事にしています。
ショッピング体験の進化で、人々は「買い物」をしなくなる
買い物はこんなに面倒くさい
「買う」という行為は、思いのほか面倒くさい
まず、店に行かなければならない。
そのための身支度も整えないといけない。
店に行くまでには電車に乗ったり、車を運転したり、自分の足で歩いたりする。
店に着いたら今度は売り場を探さないといけない。
目的の売場に着いても、類似商品がたくさん並んでいる。
そこから自分が求めているものを選ぶのも、けっこう大変だ。
品質や機能をチェックしたり、値段を見たりと、比較検討することは色々ある。
買うものが決まったらレジの列に並び、ようやく支払いを済ませる。
買った商品を家に持ち帰るまでも買い物だ。
モノをかうためのプロセスを分解すると、買い物とは、そうした面倒なことの積み重ねだということがわかる。
もちろん、反論も考えられるだろう。
「週末に家族みんなで出かけられるけど、『面倒』というよりかは楽しいイベントだ」
「好きな服をたくさん見るのが好きだから、買い物はまったく苦じゃない」
「電化製品は機能を比べて検討したい。いいモノが買えるなら面倒だとは思わない」こうした意見もきっとあるはずだ。
しかしそれは、「買い物のプロセスの中の一部分」が好きだと言っているだけなのである。
それも条件つきで。
週末に家族とドライブがてら出かけるショッピングは、確かに楽しいかもしれない。
しかし、混雑している駐車場に入るまでに、どのくらいの時間がかかるだろう。
帰り道は渋滞に巻き込まれるかもしれない。
トイレットペーパーや洗剤、米や牛乳といった日用品・食料品に至っては、正直「いつもと同じもの」でいいのだから。
わざわざ出かけなくても、誰かに運んできてもらったほうがよっぽどいいのではないだろうか。
「服が選ぶのが楽しい」という人はも、それ以外のプロセスが面倒なことが多いだろう。
いい服が見つかっても、サイズがない。
最近では「近隣〇〇店なら在庫があるようです」といったことがわかる店も多いが、いずれにせよ取り寄せに時間がかかるのであれば、また別の日に来店しないといけない。
電化製品の比較検討も、真剣に悩み出したら数日はかかる。
実は「信頼できる誰か」のひと言さえあれば、簡単に購入を決めることもあるのに、莫大な時間を費やす意味は本当にあるのだろうか。
人々は買い物のために行かなくなる
こうした買いもののわずらわしさを大幅に解消してくれるのが、ネットショッピングだ。
皆さんの中には、「ネットショッピングなしの生活は考えられない」というほど身近になっている人もいるだろう。
ネットショッピングは、買い物の中で最も面倒な「店に行く」というプロセスを省略してくれた。
ほかにも、決済が簡略化され、値段や昨日の比較もしやすくなったなど、それまでのショッピングとは比べる革新的な要素は多い。
楽天、Amazon、ZOZO、メルカリ、アットコスメなどは、誰でも一度は使ったことあるはずだ。
ただ、日本において、消費者向けECの市場規模は約18兆円だ。
この数字は大きいようにも見えるが、実はすべての商取引のうちECが占める割合、つまり「EC化率」は、わずか6.22%しかないのだ。
ネットショッピングが当たり前の時代になったといっても、全部が全部、それで済むようになったわけではない。
とはいえ、EC市場規模・EC化率の数値は年々右肩上がりで、今後もこの流れがそのまま進むことは明白である。
人々はわざわざ買い物には行かなくなり、実店舗は街から姿を消していくだろう。
すでに地方の商店街では「シャッター通り」が珍しくなっているが、今は賑わっているショッピングモールや百貨店であっても安泰ではない。
アメリカでは、大型ショッピングモールが次々に姿を決しており、UBSが2019年4月に発表したレポートでは、ECのさらなる普及の影響などで、2026年までに米国内で7万5000店もの小売店が閉店すると予想されているのだ。
日本でも大手アパレル会社のオンワードが、国内外での全体の約2割に担当する600店舗を閉鎖するというニュースは衝撃を与えた。
人口減少や働き手の不足は、構造的にも経営にさらに影響していくことになるだろう。
同レポートによれば、閉店する店の種類を見てみると、特に影響が大きいのが衣料品で、同期間で2万100店が閉鎖の憂き目に遭うと見られている。
「アメリカの今を見れば日本の10年後がわかる」と言われているが、日本でも現実世界の店舗が消えていく流れは避けられそうにない。
店舗離れを加速させたウェブルーミング
「店舗離れ」の動きも、さまざまな方向で見られる。
たとえば「ウェブルーミング」だ。
これは商品探しをまずネットで行い、実際の購入は実店舗でするという消費者行動を指す言葉だが、最近、そのようにして買い物をする人が増えているのだ。
すでにネットショッピング購入経験者のうち半分以上は「ウェブルーミング」をしていると言われている。
「いくつもの店を歩き回りながら商品を探すのは、疲れるし、時間ももったいないけど、ネット上の写真だけで決めるのも不安だ」
そう考えている人の多くは、ネット上で買うのをほぼ決めておき、最終的に実店舗で現物を見てから購入する。
こうしたウェブルーミングのメリットとしては、自分の目でちゃんと確認したものを入手できる、その場ですぐに手に入る、送料がかからない、といったことなどがあげられる。
逆に、実店舗で商品を探し、ネットで購入する「ショールーミング」をする人も多いが、いずれにせよ、これらの消費行動が増えることで、従来の実店舗の役割が奪われていることは確かなのだ。
このように、リアル店舗が存在する意義は薄まるばかりで、消費者の中には、単に「商品の受け取り場所」として店舗が存続してくれればという人も多いかもしれない。
ただ、正直店舗がその役割だけで生き残るのは正直難しいだろう。
ネットを介して「情報につながる」
「本当に店がなくなったら、生活するのに困るんじゃないか」
このようにな心配をする人もいるだろう。
しかし、店がなくなって大変なことは、実は限定的だと考えられる。
生活するのに困るどころか、むしろ今より便利になって、われわれ消費者には有益であることの方が多くなるだろう。
リアル店舗がなくなっても、「買う場所」がなくなるわけではない。
むしろ「どこでも買える」時代になるのだ。
20世紀生まれの多くの人間にとって、テレビは今も重要な情報源だ。
テレビのCMや情報番組を見て、「これが欲しい」と思って実際に店舗に行き、それと同じものを買うということは、これまで当たり前のようにあっただろう。
ネットが普及してこれがどうなったか。
テレビを見て欲しいものがあったら、わざわざ後日、店に行くのではなく、その場で「ポチる」ことが可能になったのだ。
今後は、さらに「次のステップ」に進むと考えられる。
具体的にいえば、テレビが起点となるのではなく、インフルエンサーのSNSからのクチコミ、自分の情報源が起点となり、モノを買うようになるのだ。
「ネットはもう20年も前から普及してきいる。これまでと何が違うんだ?」
そう思う方もいるかもしれない。
確かに、1990年代に、世界中で多くの人々がインターネットにつながった。
しかし、そのつながりは「パソコンを使っているとき」に限られていた。
私たちがまだ「リアル」と「ネット」を区別しながら生活をしていた時代だ。
しかし、2010年代に入って、スマートフォンが普及したことは、大きな時代の転換期といえる。
それは「ネットにつながる」時代から「情報につながる」時代へとシフトしたことを意味するからだ。
ネットに繋がった状態というのは、家の前に新しい道路ができた状態に過ぎないが、これらは、その道路を行き交う人々のつながりが始まるのである。
たとえば、SNSで友人からのこんな情報がタイムラインに流れてくる。
「ネット販売限定のこのシャンプー、ものすごくおすすめだよ」
「この中古車、欲しい人を探しています」
そんな情報が、目の前を行き来して、いつでもどこでも瞬時にアクセスができる。
つまり、情報が起点となって直接的に消費行動が生まれることが、これからますます増えていくのだ。
実際、TwitterやInstagram上には、商品の話やそれを使ってみた感想が驚くほどあふれている。
もはや店舗では消費が生み出されていないようにさえ見える。
そして店舗の閉鎖が進んで全体的には店舗数が減る中で、チェーン店舗が増えて同質化が進むと、一層ネットショッピングが加速していくのである。
そんな時代になると、店舗は人々から忘れられてしまうかもしれない。
日用品を除き、「消費者が本当に欲しいもの」は、店舗にはない可能性が高いからである。
さらなる進化、「デジタルシェルフ」へ
あらゆるデバイスが商品棚になる
「世の中の電子化が進む中で、日常の身の回りにある、ありとあらゆるものがシェルフになること」である。
そしてその意味は、「技術的な革新」にとどまらず、「私たちの生活や価値観の変化」といった現象を指している。
デジタルシェルフ時代の初期に起こるわかりやすい変化は、私たちが持っているあらゆるITデバイスに商品棚が移動することだ。
今までは、欲しいモノがあれば、必ず店舗に足を運んでいた。
店舗のほうが消費者によってたくさん商品があったからだ。
それがECのおかげでネット上の方が商品も多くなり、店員に聞かなくても口コミで良し悪しの判断ができ、すぐ届くというインフラができ、
商品を探すのも買うのもネットになった。
これにより、販売する企画にとっても、「リアル店舗の棚の一等地」に商品が並んでいることよりも、「オンライン上の棚の一等地」に並んでいることが重要になった。
この変化が企業にもたらす問題は二つある。
1つは、リアル店舗なら営業マンを多く雇い、小売店に営業することで棚尾獲得できたが、ネット上にはECモールの支配するAIで棚で働いていて、お金をかけても
自由にコントロールできないことだ。
もう1つは、デジタル上の棚で、自社の商品が一等地にどれくらい並んでいるかを可視化できないことだ。
これは棚が無数の場所に点在しているためとリアルタイムで棚が変化しているためである。
皆さんはご存じだろうか。
たとえばミネラルウォーターでは、Amazonと楽天で最も売れているブランドが全く異なることを。
楽天ではクリスタルガイザーが売れ筋ランキング1位だが、Amazonでは、キリンの「アルカリイオンの水」が1位である。
つまり、われわれがあるリアル店舗の売れ筋ランキングで見た「人気のミネラルウォーター」は、全国的に見て本当に売れている商品であるとは限らないのである。
商品によっては、InstagramやTwitterで検索して人気商品を探す消費者もいる。
消費者ランキング上位の商品を信用して購入する傾向があるため、企業としてはオンライン上でもランキング上位に載せる必要がある。
また、こんなこともあった。
ある大手日用品メーカーが、数年ぶりに主婦に向けて新商品を販売するので、大々的にテレビコマーシャルを打った。
ドラッグストアなどでは棚の確保していたが、ECモールや口コミサイト、SNSなどではその商品について露出がなく、大失敗してしまったのだ。
また別の企業では、商品レビュー上で、あるユーザーから商品の悪口が書かれたまま残っていたため、販売するのに長い期間にわたって苦労していた。
これらはデジタル上の商品情報を見過ごし、管理できていなかった例である。
このように、商品者にとっての棚は、デジタル上に移ったのである。
メーカーは今まで売る部分は小売りに任せていればよかった時代から、自社で売ることに関しても管理が必要な時代になった。
実際、どの企業もデジタルシフトを戦略として掲げているが、現実にはデジタルの棚を管理しきれていない。
私はデジタルシェフを管理するAIシステムを提供する企業にいるが、ニーズの高さからか、これに関する大手企業からの相談は多い。
今後は、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスからも買い物が可能になるだろう。
スマートグラスが普及すれば、可能性はさらに大きく広がる。
目の前にあるすべてのものを画像解析して、気になるものがあればその場で同じ商品や類似商品をすぐに注文できるようになる。
つまり、私たちの目の前に映るもの全てが商品棚になるというわけだ。
あるいは、家電のIOTga進めれば、それらもデジタルシェルフとなる。
冷蔵庫の中のものを自動解析して、常備品が切れそうになったタイミングで勝手に注文してくれる。
空気清浄機のフィルターの交換時期が来たら、新しいフィルターが自動で届く。
掃除機が床のひび割れを発見して、補修用品を注文してくれる。
さらに言えば、私たちの体さえデジタルの商品棚になりうるのだ。
近年、Fitbitmのように、脈拍センサーなどを備えたリストバンドが健康管理にも活用されているが、センサーによって体調の異変がキャッチされれば、
それに対応した健康食品・健康グッズが送られてくるようになる。
医療アドバイスや、クリニックの予約まで行えるようにもなるだろう。
Amazonは、スマートスピーカー「Amazon Echo」でデジタルシェルフを実現する、ある特許を取っている。
Amazon Echoに相殺されているAI「アレクサ」は、聞こえてくる音を24時間分析している。
アレクサは、ユーザーが「アレクサ」と話しかける時どうすると思われるが、実際にはユーザーが起動していると認識していない間も音声を拾い続けているのだ。
同社が取った特許とは、アレクサがユーザーの音声をキャッチし続ける中で、音の調子が変化していると判断した際に、ユーザーにのど飴をすすめるというものだ。
体調の変化は、自分でもなかなか気づきにくことがある。
特に自覚症状がないうちは、AIほうが先に気づく異変も多いだろう。
Amazonが音声データーを取り続けていることについては、サービス向上を目的にしているとはいえ、「盗聴ではないか」「プライバシーの侵害だ」という批判の声も多い。
ユーザーとしては、利便性を取るか、プライバシーを取るか、という話になるだろう。
ともあれ、デジタルシェルフで商品棚にある「ありとあらゆるもの」には、こうした音声も含まれる。
「目に見えるもの」だけとは限らないものだ。
ただし、そこにはある条件がある。
それは、「データ化できるもの」であるということ。
それは、デジタルシェルフというものが、このあとお話しする「データードリブン」で実現されているものだからだ。
データードリブンにより始まる「無意識の買い物」
デジタルシェルフによって、われわれ消費者への企業からのアプローチはどう変わるのか。
それを考えるに当たって、消費者側の視点では、主に次の2つの変化が起こると考えられる。
①データードリブンにより、AIを活用して自分に必要なものが自然に届くようになる
②他人の意見によって商品を購入するようになるまずは①から解説しよう。
「データドリブン」という言葉は、最近よく聞かれるようになったが、一言で言えば、データを元にさまざまな判断や実行がなされることだ。
一般的には、「データドリブン経営」「データドリブン社会」などといった使われ方をする。
デジタルシェルフも、データドリブンで動き出す。
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ここでいうデータとは、ユーザーの購入データ、検索履歴のほか、先ほど紹介したような体調のデータや音声データも含まれている。
こうした多様な個人情報が集積されているからこそ、消費者が「今まさに欲しいもの」「本には必要だと気づいていないが本当はあった方がいいもの」をすぐに届けてもらうことができるのだ。
デジタルシルフ時代には、私たちの生活のあらゆるシーンに買い物が入ってくる。
テレビを観ているとき、出演者が着ている服が気に入れば、その場で購入できる。
度モノの番組なら、その場で宿の予約ができる。
外出でもカフェで流れている
「曲名はわからないけれど気になる曲」をその場でスマートフォンにダウンロードしたり、そこに置いてあるのと同じ食器や雑貨を注文したりできる。
今よりもダイレクトな買い物が可能になるのである。
また、Amazonは広告ビジネスでも躍進していることをご存じだろうか。
実はオンライン広告事業ではGoogle、Facebookに次いで3番目の会社となり、急成長している。
その中身はAmazonで買い物をしているユーザーに広告を出せるというものだ。
Amazonで何を買ったかをもとに広告を出せるということは、企業としてはいろいろ効果的で、たとえば購買データを活用して、
過去におむつを買った人に過去におむつを買った人に粉ミルクをすすめることができる。
あるいは、たとえばナイキブランドをよく買う人に、アディダス製品をすすめることなどもできる。
つまりライバルブランドの顧客を奪うことも可能なのだ。
実際に、無名の小規模ブランドが水面下でターゲット広告を使い、90%オフのクーポンを配って大手ブランドから顧客を大量に絞って
いるケースがある。
ただ、こうした近未来的な買い物ですら、デジタルシェルフの全体像を語る上では、ほんの入口部分に過ぎない。
先ほど挙げたような例では、「欲しいから取り寄せる」と言った消費者の嗜好が入るが、実際の買い物の変化は、無意識の領域まで進んでいく。
例えば、身体の調子が悪くなる前に健康サプリメントが届く、必要になったときに洗剤やトイレットペーパーなどの消耗品が届く、
その人の好みや健康に合わせた献立をもとにミールキットが届く、といったことが当たり前の時代になる。
そうしたサービスの核となるのは、先ほどから話しているように「情報」だ
パーソナルな情報がAIによって分析され、必要とされるモノやサービスが勝手に届く。
「①データよドリブンにより、AIを活用して自分に必要なものが自然に届くようになる」とは、まさにこのことである。
データの活用で変わるメーカーの現場
これからは、企業活動においても、データドリブンではじまるケースが増えてくる。
アパレルでは、すぐにその動きが始まっているのだ。
ユニクロを展開するファストリテイリングは、自分たちのことを「情報製造小売業」と呼ぶように、情報を重視した経営政策に積極的だ。
具体的には、ユニクロのファンや店頭のスタッフらの声を集めて、商品開発や需要予測に役立てていくという。
さらには、リアルとバーチャルを融合させ、新しい物流システムの開発を進めている。
物流業界の再編はAmazonやウォルマート、楽天のような小売りだけでなく、メーカーも含めて繰り広げられることになる。
また、スペインのZARAは、データ活用により、服を3週間でつくる体制を敷いているという。
従来、アパレルメーカーはシーズンの半年ほど前から服を作っていたが、それだと短期間の流行のサイクルに対応できない。
作った服が流行に乗れずに、大量の在庫になってしまうことは、メーカーにとっての悩みの種だった。
たった3週間で服を市場に回せることで、ZARAはそうした心配とはほぼ無縁なのだ。
「今、世間でどのような服が売れているのか?」をこまめにキャッチしながら服づくりに活かせるからだ。
もちろん、この考え方を応用することで、アパレル以外でも開発のサイクルが今後どんどん短くなると予測できる。
もっと手軽な方法として、Instagramを活用しているというアパレルメーカーも多く見られる。
Instagramの活用というと、利用者へのプレゼントや割引などのキャンペーンをイメージするところだが、活用方法はそれだけではない。
Instagramを「流行の最先端の場所」と捉え、投稿写真の色、柄、素材などをAIによる画像解析技術で分析しながら服づくりに活かしているメーカーも珍しくない。
しかし、これまでの店頭には、「流行の服」と「流行に乗れなかった服」とが混在し、「今どき」の服が見つけにくかった。
それがデータドリブンによって解決され、さらに個人情報の解析まで進めば、トレンドにも自分の好みに合った服を見つけやすくなるだろう。
写真というたくさんの情報を含むデータは「価値の宝庫」である。
これがAIを活用すると、従来の人間が予測するよりも早く、高い制度のトレンド予想ができる。
アパレルに限らず、私が関わったプロジェエクトで、商品レビューをAIで解析することで消費者ニーズを発見し、売上を大きく改善したケースもある。
メーカーは商品を販売する前に多くのモニター調査を実施し、消費者に事前に使ってもらうことで改良して市場に販売するわけだが、あくまで一部でしか
テストできないため、実際に販売する違う反応になることが多い。
一方、商品レビューは消費者が強制されることなく自然に発信する商法なので、トレンドを予想するには価値のある情報になるのだ。
実際に、ある洗剤の「香り」について、思ったよりもネガティブな意見のオンラインの商品レビューに書かれていたことがあった。
それを受けて、香りについての情報をパッケージやウェブに記載するようにしたら、それがポジティブな意見に変化して販売が伸びたというケースもある。
われわれ自身が手掛けたデータドリブンの例はほかにも数多くある。
たとえば私はたちは、国内の主要なECモールや口コミサイト上のすべての商品レビューを分析しており、性別・年代・地域・購入目的などごとに切り口を
変えて分析し、市場ニーズに合った商品開発のサポートを行っている。
こうした分析からは、たとえば、一般ではそれほど売れるわけはないが、「ギフト需要」でよく売れるスイーツ需要を開発するといったこともできるのだ。
ほかにもオンライン上のすべてのジャンルごとの、性別・年代別の日々の売れ筋ランキングデータを分析することで、今後売れ始める商品のトレンドを予想することもできる。
たとえば、実店舗で売る商品とはパッケージや成分などを変えた、オンラインのみで販売する商品も、今後は増えてくるはずだ。
もう一つは重要なデータは、検索キーワードのデータだ。
検索キーワードとは、ECモールでユーザーが探すときに入力する言葉である。
これは、そのときの需要が強く現れる。
より多くの検索される言葉、今までなかったが急に増えた言葉。
これからも商品トレンドを予測することができるのである。
たとえば、チョコレートのジャンルでは「カカオ効果チョコレート」というキーワードが増えている。
売れ筋ランキングを見ても、カカオが多く含まれるチョコレートが売れている。
これはチョコレートのカカオ豆に含まれるポリフェノールに美容・健康の効果があるからである。
しかし、スーパーやドラッグストアでは、棚のスペースにも限りがあり、売上上位にはあまり入ってこないのだ。
今夜はトレンドをより早くつかんだ企業が優位に立つはずだ。
ビッグデータを活用することで、まだまだ魅力的な商品を開発できる可能性があるのである。
「人々が「買い物」をしなくなる未来」の先にあるもの
買い物時間が「0秒」になって消えるもの
1日かけて出かけていた百貨店。
1時間かけて出かけていたスーパー。
10分程度の外出先で済むコンビニエンスストア。
1分程度で済むインターネットショッピング。
私たちの買い物の時間は、時代とともに短くなっている。
今は私たちは、電車の中で高級ブランドバックを買うこともあるし、トイレの個室の中で今晩の食事を注文したりする。
そういう時代なので。
まさに1分の中で買い物は行われる。
この短い時間を、小売りやメーカーは奪い合っている。
多くの消費者は気づいていないかもしれないが、たとえば、朝の通勤時間の8時を狙ってクーポンを送ったり、ランチタイムの12時にメルマガを送ったりしてライバルから
ユーザーを奪っているのである。
これがさらに進むと、1分よりも短い、自動的、もしくは時間的な買い物が起こる可能性がある。
デジタルシェルフ時代の初期には、この買い物時間は1秒ほどになるだろう。
買い物は、「自分で探して選ぶ」という形ではなくなり、AIが勝手に探してきてくれる、あるいは人からすすめられたものだけ欲しくなる。
あとは、それを決済するかどうか、その時間だけの問題である。
私の同世代の人などは、相変わらず性能や価格を見比べて悩み続けるかもしれないが、時代の変化に順応していく人から、買い物を1秒で終わらせるようになるだろう。
すでに今の若い人たちの中には、買うものをいちいち吟味せずに、1秒で買い物を済ませている人もいるのだ。
デジタルシェルフ化が進むと、買い物の時間は限りなくゼロに近づく。
部屋の中にさまざまなセンサーが張り巡られ、人間の体にウェアラブル端末で何かしらのセンサーが文字通り「身についた」状態だ。
センサーはは環境や人間のさまざまな変化を感知し、それを分析したAIが今ユーザーに必要なものを自動的に注文して取り寄せるようになる。
テレビを見ていて気になったものがあったら、ボタン一つで注文が完了してしまう。
そうなってくると、「買い物をしている」という感覚は無くなるだろう。
こうして買い物の時間が「0秒」になると、世の中からさまざまなものが消えることになる。
リアル店舗のレジや店員は、Amazon GOのような無人店舗が普及する段階で消え、その分の段階として、在庫や包装といったものが不要なものと判断されて消えていく。
価値が最適化されるので、値引きもなくなるのである。
今は流行りの「オムニチャンネル」もなくなるだろう。
オムニチャンネルとは、リアル店舗やECサイト、スマートフォンアプリなど、お客さんとの接点を増やして売上を伸ばしていく方法だが、
「接点をたくさん持つこと」の意味は薄くなる。
なぜなら消費者は、商品・場所・価格・口コミなどすべての情報とつながり、買い物のために何かを記憶してしたり、思考したり、判断したりする必要も
なくなっていくからだ。
消費者にとっては、「何も考えてなくても、今、必要なものがピンポイントで届く」ということの方が重要なのだ。
いつでも「バーチャルコンシェルジュ」が帯同
全章で、5Gのサービス開始で世界が一変するということを述べたが、その技術革新により、私たちの生活はさらに快適になっていく。
今でも家族で、友人同士で、ライブ配信をしている人たちは珍しくない。
中には24時間繋ぎっぱなしという人もいるくらいだ。
彼らはライブ配信の中で会話をしたり、一緒にゲームをしたりするだけでなく、一緒に勉強して、一緒に食事をして、一緒に外出するのも当たり前になっているのだ。
5G、そして6Gの時代ともなれば、リアルとバーチャルの境も無くなるだろう。
今はまだ「感触」を伝えることはできないが、感触を伝送する技術が実用化されれば、おじいちゃん、おばあちゃんが遠くに住んでいる孫を抱っこしてあげることだってできそうだ。
「いつも電話で声しか聞いていない孫に会えてうれしい」から「VTRでしか触ったことのない孫に会えてうれしい」に。
人に直接会う機会は減るが、その分「会うことの価値」は高まるだろう。
商品やサービも大きく変わる。
塾がVRに、学校がVRに、そして職場もVRに。
VRでしか会ったことのない友達・先生・同僚がいてもおかしくないのだ。
冷蔵庫・洗濯機・玄関・風呂・ベット・カーテン・テーブルなど、家の中のものがすべて人間とつながり、生活の中には、執筆のように常に「バーチャルコンシェルジュ」が帯同するのだ。
たとえば、風呂に入る時間になれば勝手に湯船にお湯をためてくれる。
眠くなったら照明の明るさを落としてくれる。
朝、目覚めの時間に合わせてカーテンを開けてくれる。
おなかが空いたら料理が自動的に届く。
週末のデートに合わせてふさわしい洋服が届く。
起きてから寝るまで、そして寝ている間も、その人に最適なサービスが提供され続けることになるだろう。
サブスクで人がモノを持たなくなる時代
代2章で述べたサブスクリプションは、私たちの「所有」の概念を大きく変えている。
このことはすでに述べた通りだが、この先の未来では、私たちの生活がさらに浸透していくだろう。
今はまだ、高額なものや、その都度の支払いが面倒なものが中心のサブスクリプションだが、やがて多くのものがサブスクに変わっていくだろう。
店舗がなくなっていくので、そのほうが結果的にモノを入手したりサービスを受けたりしやすいというのもある。
しかもそれがさまざまなサービスとセットになって、複合的に進化していくのだ。
オランダの新興自動車メーカー「VanMoof」はハイクオリティの電動アシストのシティバイクを販売しているが、その価格は日本の一般的な電動アシスト
自動車の3倍から4倍もする。
簡単には手が届かない代物だが、「VanMoof+」というサブスクのサービスを利用すれば、月額3000円で使い放題になる。
そこには無料で修理を受けられるサービスも含まれている。
また、自転車には盗難対策機能がついており、万が一盗難に遭った場合は、別途1万円を払うことでVanMoofが捜査を開始し、見つからなかった場合は新しい自転車が
提供されることになっている。
さらに使い勝手がいいのは、世界中のVanMoofのショップで自転車を借りることができるので、海外旅行や出張の多い人にとっては、「自分の自転車が世界中にある」という状態なのだ。
このサービスがさらに進化すれば、あらゆる場所で受け渡しができるようになり、どこでも乗り始め、乗り捨てられるようになるだろう。
サブスクの進んでいる中国では、ピアノのサブスクサービスにピアノの先生がついている。
また、子どもが鍵盤をどう叩いたかをアプリで記録していて、実際の先生が見てアドバイスしてくれるサービスもあれば、AIが指導してくれるものもある。
こうなると、ピアノを所有する必要はないし、レッスンの時間を先生に合わせる必要もない。
そのうちVRと組み合わせたサービスも始まるだろう。
もしかするとピアノそのものがバーチャル化し、センサーが指の動きを感知してピアノの音を奏でているかもしれない。
サブスクの隆盛で、私たちは「モノを持たなくなる時代」に突入する。
家には今使うものだけがある状態になり、住宅事情も大きな変化が起こるかもしれない。
物置やクローゼットはなくなり、団らんのスペースが拡張されて、VR用の部屋が新しくできる。
そして家そのものがサブスクになり、家賃よりも容易なかたちで、自由に自分の好きな場所に住める時代になる。
さらに流動化が進めば、「住む」という概念すら失われるかもしれない。
今も「自宅を持たない人」はいるが、多くの人にとってそれは当たり前の時代になるのだ。
ネットを人が検索するシーンはなくなる!?
インターネットの発展は、「検索」とともにあったといっても過言ではない。
インターネット黎明期から、私たちは検索エンジンの利便性を享受し、グーグル検索が普及してからは、もう検索無しでは仕事や私生活が成り立たないほど、
わたからないものは何でも検索して解決できるようになった。
買い物においても、検索から入る人は多かっただろう。
しかし、デジタルシェルフの時代に、服も靴もメガネも腕時計もウェアラブル端末になっていくと、AIが勝手に必要なものを調達してくれるので、
自分で必要なものを「探す」必要がない。
身の回りの世話も、先ほどのバーチャルコンシェルジュが請け負ってくれるため、おいしいお店を探すのも、週末のイベント情報をチェックするのも、
自分で検索する必要はないのだ。
その代わりに、TwitterのようなSNSで情報を取得することが増えるだろう。
Twitterでは、最初の言葉こそ検索するが、そこからは検索しなくても、関連情報がにょきにょきと現れてくる。
このほうが、自分の知りたい情報を見つけやすい。
ローカルなトピックもリアルタイムで見つかりやすいというメリットがある。
いわゆる、「マスメディア」はなくなり、メディアは個人に最適化された情報を届けるようになるだろう。
今もAIが勝手にニュースを選んでくることがあるが、「その人のために書かれた記事」をAIが作り始めるかもしれないのである。
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